2009年6月29日月曜日

ゆうちょ銀行とかんぽ生命が完全民営化すると経済活動が刺激されるという話し

あるところで僕が郵政民営化に賛成であることについて、「郵政を民営化するとアメリカにお金を吸い取られる」とか「外資が資本を握ってしまって乗っ取られる」という意見を貰った。

「郵政民営化で外資がゆうちょ銀行とかんぽ生命を食い物にする」
「アメリカがたくらむゆうちょ銀行、かんぽ生命乗っ取り」

こういう内容のセンセーショナルなタイトルは「ハゲタカファンド襲来>>企業買収>>資産切売>>資本流出」というロジックで良く目にした。果たしてそうだろうか?

外資に買われるかどうかはその時の経済状態による。ただ、他の金融機関が破綻したもの以外は外資に買われていないのだから、そんなに心配することもない。第一、リーマンショックでアメリカの金融機関を買いたたいたり、買いたたこうと日本の金融機関も動いたではないか。アメリカがゆうちょを買おうとするなら、日本がバンカメを買えば良い。

金融機関に対する投資制限があるのだから、よっぽどのことがない限りゆうちょ銀行が買われることはあるまい。

日本政府が売り飛ばすかもというのは具体的にどうやって?と思う。仮に、ゆうちょ銀行が海外に売り飛ばされても、保有する資産は預金者のものだから、その金がアメリカ人のものになるわけではない。ゆうちょ銀行がアメリカ国債に優先的に投資して、それでアメリカが減税や公共投資をするなんてことは考えられる。ただ、日米の資金バランスが崩れるために政府は保有するアメリカ国債を手放してしまうだろう。ゆうちょ銀行を通じてアメリカに金が流れても、それでは円に比較してドルが安くなるのでアメリカ人は資産を円に投資してマネーは日本に戻ってくる。

結局、国際的な資金バランスは多国間の経済バランスの上で転がる。日本の産業が健全で経済が活発であればどこからマネーが流出しようと結局は日本に戻ってくる。

ゆうちょ銀行が国営であることの最大の問題点は民間金融機関に比べて圧倒的な規模と投資のほとんどが国債であるということだ。日本政府が発行する国債の2割以上はゆうちょ銀行が引き受ける。かんぽ生命を含めるともっと。この巨大な資金供給があることが、政府予算の無秩序な膨張につながっているのだ。

ゆうちょ銀行が民営化して他の預金銀行と同じになったとしたら、その投資の一部は民間に振り分けられる。企業の投資にも決済にも十分な資金供給がされるから企業活動が活発化し経済が刺激されるだろう。

郵政民営化に反対という意見で主張されるのはハゲタカファンドにかすめ取られるとか、かんぽの宿の入札に疑惑があるとかないとか(結局なかったが)、小泉・竹中が利権を握るためとか、本筋の郵政民営化すると何が悪いのかということに反論していない。

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